株式会社中央経済社ホールディングス

設計×共有で「運営力」を仕組み化──非IT専任でも確実に回るMCE基盤を構築

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ビジネス専門書Online」を中核に、書籍・4誌の専門雑誌・自社EC・セミナー・会員DBを横断する事業を展開しており、さらなる紙とデジタルの複線化のためにMarketing Cloud Engagement(以下、MCE)を導入し、DX化の一歩目を踏み出した手応えを伺いました。

南部 徳馬 様(営業部/法人営業)
自社EC・会員基盤を起点にした情報発信と配信運用を実務推進。
書店向け販促から法人営業(税理士・会計士・監査法人)まで、専門性の高い顧客接点を広げてきた。

導入の目的
  • ECを「買える場所」から、専門読者が集まり補助情報が循環する「アンテナ」へ転換し、必要情報を確実に届ける配信基盤(MCE)を構築する。
  • メールを中核にチャネルの役割を明確化し、接点の一体化と検証の高速化で取りこぼしを減らし、LTV向上につなげる。
課題
  • 決済・在庫・商品情報の土台はある一方、「届け方の設計」が不足し、専門書の「必要時購入」に留まってECの成長が頭打ち。
  • 非IT専任中心で標準化と再現性が弱く、データ連携や意思決定の見える化が不十分で拡張性に課題。

Marketing Cloud Engagementを導入した背景・理由について教えてください。

南部様 当社のミッションは「一人ひとりの読者のために、有効にして有用な出版物を提供すること」です。
書店流通の環境変化とデジタル化の進展を受け、ECを第二の柱へ育てる必要性が高まりました。
1990年代からECは運用していましたが、専門書の特性上「必要時購入」が中心で、長らく「買える場所」に留まっていました。
決済・在庫・正確な商品情報といった土台は整っていた一方で、足りなかったのは「届け方の設計」です。
ヘビーユーザーが自然に集まり、良質な補助情報が循環する「アンテナ」としてECを機能させるため、Marketing Cloud Engagement(以下、MCE)の導入を決断しました。

 

エンミッシュを選んだ理由について教えてください。

南部様 セールスフォース社ご担当者のご紹介をきっかけに、実装までの確かさを重視して選定しました。
検討の軸は「MCEを採用するか否か」であり、他のMAとの網羅比較よりも「実行可能性」を優先。
エンミッシュ様の提案は納得感が高く、社内稟議もスムーズに承認されました。

特に印象的だったのは、プロジェクト運営の見える化です。初期から進め方が明確で、工程・役割・意思決定の場が整理され、Backlog(プロジェクト管理ツール)での進捗共有により関係者が常に同じ情報を見ながら前進できる体制が整っていました。
レスポンスも速く、合意形成から実行までのサイクルが短かった点は大きな価値でした。

 

実施した施策と構築プロセスについて教えてください。

南部様 キックオフを実施し、「最小構成で確実に回す」方針で段階的に構築しました。
・連携の標準化:SFTPでデータ項目・頻度・運用手順を定義し、授受を安定化。
・最小実装:メールシナリオを1本に絞って稼働確認し、レビュー→改善の流れを固定化。
・運用定着:定例の固定議題を「進捗・課題・Next Action・前提/制約」とし、意思決定を前倒しする運営リズムを確立。
・拡張準備:セグメント追加やシナリオ増設を見据えてデータ設計を整理。記事連携やAPI移行にも耐える前提を整備。
この順で進めた結果、属人化を避けながら拡張(シナリオ追加・セグメント拡充・必要に応じたAPI連携)へ滑らかに接続できる体制が整いました。

 

エンミッシュへの評価について教えてください。

南部様 エンミッシュ様の伴走により、初期整理から運用立ち上げまでが過不足なく進みました。
SFTP連携とメール1本の最小構成で要点を文書化し、再現性を確保。
専門用語も平易に噛み砕いていただき、非IT専任中心の体制でも理解が浸透しました。
問い合わせへの一次回答が迅速で、Backlogで工程・責任・期限が可視化されているため、定例外でも意思決定が滞りません。

読者層と専門書の購買特性を踏まえ「まずはメール中心で基盤を固める」方針を共有し、EC・定期購読・セミナー参加者の接点を「ひとつの体験」へ束ねるロードマップに落とし込みました。
総じて、技術力・対応スピード・ビジネス理解が噛み合い、非IT専任体制でも着実に前進できる伴走力を発揮いただいたと評価しています。

 

今後の見通しについて教えてください。

南部様 目的は、読者が求める情報を過不足なく確実に届けることです。
まずはメールとアンケートで小さく始め、反応データを丁寧に蓄積してセグメントとコンテンツの精度を磨きます。
次に、メールを中核に据えつつ各チャネルの役割を明確化し、到達の「広さ」と理解の「深さ」を両立させます。期待する効果は、取りこぼしの減少とLTVの向上、「中央経済社をフォローすれば必要な情報が得られる」という体験価値の定着、そして非IT体制でも回る「設計×共有」モデルの社内展開です。
小さく始め、速く学び、段階的に広げる -この一貫したサイクルで、読者と本を結ぶ導線をさらに確かなものにしていきます。

 

このプロジェクトで得た学びについて教えてください。

南部様 本プロジェクトで明確になったのは、専任の情報システム部門が大きくない環境では、現場とITをつなぐ「橋渡し役」の有無が成果を左右するという点です。
現場は専門用語に不慣れである一方、意思決定には現場の納得が不可欠です。

この前提に立ち、会議では
(1)深掘りすべき論点と後で調べる論点を切り分け、
(2)限られた時間を最優先事項に集中させ、
(3)噛み砕いた説明で「次の一手」を明文化する
――という運営の型を徹底しました。

その結果、エンミッシュ様の伴走により「誰が・何を・いつまでに・どの品質で行うか」を可視化する仕組みが早期に根づき、未解決の論点が一部残っていても立ち止まらず前進できる体制が整いました。
以上を踏まえた結論は「設計×共有=運営力」です。
今後はこの学びを起点に、“拡張の流儀”を他の取り組みにも横展開していきます。